【佐渡島の名所】慶宮寺八祖堂の見所(新潟県指定文化財)

慶宮寺

佐渡島には280を超える仏教寺院が存在します。過疎化により檀家数の減少、後継者問題が深刻化していますが、それぞれが古都に匹敵するほどの趣き深い存在感を持っています。

佐渡島にも四国のような八十八カ所霊場があり、佐渡遍路と呼ばれ、江戸時代から今日まで深く信仰を集めてきました。佐渡のお寺は伝統的建築物としても注目され、信仰とは違う形においても意義深いものとなっています。島の中心地である国中平野、佐渡市宮川の慶宮寺を訪ねました。

1.慶宮寺とは

慶宮寺は佐渡市畑野地区、宮川に位置する真言宗のお寺です。佐渡両津港ターミナルから車で30分、南線を走行すると案内板が出ています。佐渡島、国中を代表するお寺の一つで、807年(大同2年)快空法印の開基と謂われています。佐渡八十八ヶ所霊場の一つ、五十一番札所となります。

順徳天皇第一皇女、慶子宮に縁深いお寺で、寺名も皇女に由来しています。(天皇の女子は内親王の尊称が定められていますが、地域の伝に倣い、宮、皇女の表記を用います)

慶子宮は鎌倉時代の皇族ですから、中世以前の寺名は判りません。元々の寺名が判らなくなるほど、慶子宮との関わりが深いお寺と言えるのでしょう。格調高い本堂と雅な庭園が、気品あふれる伶人を思わせる佇まいです。慶宮寺で特筆すべきもの、見るべきものは寺宝「般若十六善神」「両界曼荼羅」と回転式厨子堂「八祖堂」が挙げられます。

2.慶子宮について

慶子宮とは、承久の変で佐渡に流された順徳天皇の第四皇女です。順徳天皇は佐渡へ配流された後、3人の子女をもうけました。慶子宮は佐渡における天皇の第一皇女となります。妹宮と弟宮が早世される中、佐渡島畑野の地で、62年の生涯をおくったと伝えられます。没後は慶宮寺に隣接する一宮神社に祀られ、祭神「島照大明神」と号されました。

風化し見落とされがちですが、一宮神社の手水には菊の御紋が彫られています。慶宮寺に参拝された際はぜひ一宮神社にもお参りしてください。慶宮寺住職は「慶子宮はこの寺で生まれた」と語ります。地元ではこうした皇女にまつわる口伝がいくつか伝わっているのです。慶宮寺境内には慶子宮が産湯をつかったという御井戸跡が残っています。

慶子宮がお手植えになったという鬱金桜(ウコンザクラ)はひこ生えを経て大切に継承されており、皇女が里人に慕われた証にも思えます。慶宮寺の中庭で田を打つ里人に見守られながら、地元の子供たちと鞠つきに興じる皇女のお姿が見えた気がしました。

慶子宮は悲運の下に生まれ、ご生母や父天皇、妹弟宮を次々に見送り不遇の生涯であったように想像されますが、季節の花が咲き乱れる慶宮寺の境内に立つと、そうした考えは杞憂に思えてくるのです。里人に愛され島人と共に歩む人生だったのではないでしょうか。慶子宮の墓所は慶宮寺近くの開けた田地にあり、父天皇の御在所、佐渡市泉の地を見つめるように建っています。

3.慶宮寺八祖堂の見所

慶宮寺八祖堂

慶宮寺山門から小高い丘を見渡すと長い階段が現れます。苔むした階段を上がりきると慶宮寺八祖堂に到着です。慶宮寺八祖堂とは二階建て、回転式の厨子を納めたお堂です。元禄年間に原型が作られ、明和7年(1770)現在の形状となりました。

堂内には二階建式の厨子があり、上段に秘仏金輪仏頂、下段に大日如来と八人の祖師を彫った像がまつられています。本来は祖師堂との名称でしたが、次第に親しみやすく八祖堂と呼ばれるようになりました。

八人の祖師とは空海が師と仰いだ人物、龍猛・龍智・金剛智・善無畏・一行・不空・恵果に空海を加えたもので、八角の一面ごとに彫刻されています。

回転軸を内蔵した厨子は鞘に囲まれ、回すことにより参拝者が不動のまま八人の祖師を拝める仕組みになっています。堂内部で厨子を回していると、天頂部の宝珠も同じ動力で回転します。人々が堂内で祖師を拝んでいる時は、慶宮寺の境内や周辺の田畑から陽光を受けて輝き、ゆっくりと回転する宝珠が見えたことでしょう。

堂壁面上部には松竹梅、亀などの縁起物が彫刻されています。前面部の彫刻は独鈷杵、宝輪といった法具を図案化したものと思われます。

慶宮寺八祖堂1
慶宮寺八祖堂2

慶宮寺八祖堂は創建当初、建物全体が赤色塗装の建築だったそうです。鮮やかに色塗られ、精緻な彫刻を施したお堂は、決して減じることの無い地元の尊崇を集めたに違いありません。

慶宮寺八祖堂の存在は佐渡島の建築技術水準が大いに高かったことを雄弁に物語るものです。江戸時代の最高技術を駆使した八祖堂は、美術的価値の高い八祖像、堂壁面の仏教彫刻も加わり、昭和50年、新潟県指定文化財に認定されました。檀家数の減少により維持継承が大変厳しい状況にあるとのお話ですが、なればこそ卓越した古寺の魅力を内外に発信したいと考えます。

慶宮寺は佐渡の宝であり新潟の宝です。ひいては国の宝として今後益々注目されるべき仏教建築物と言えるでしょう。

慶宮寺の場所

新潟県佐渡市宮川甲457
新潟交通バス停 宮川(南線)から徒歩3分
TEL:0259-66-2481

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